だんだん春めいてきました今日このごろ、みなさんお元気ですか? 近所の梅の花もほころんできました。わくわくする季節の到来ですね! 春はなぜか新しいことをはじめたくなる季節。さて、自分は今年は何をはじめたくなるんでしょうか?
さてさて、酒井先生のインタビューも中盤です。今回は、ファシリテータってどんな人? というところを中心にお伺いしました。先生のお話を聞いて、私は3回くらい耳が痛くなりました。耳鼻科に行ったほうがいいんじゃないか思うくらい、耳が痛くなりました。もしかしたら、みなさんの耳も痛くなっちゃうかもしれませんが、どうぞリラックスして読んでくださいね。(脅してどうする!?)
それではごゆっくりどうぞー。
<ファシリテーターはこんな人>
おれい:先ほど、ファシリテーターのお話を伺ったところで、途中になってしまったので、その続きですが、現在、ファシリテーターの方は何人ぐらいいらっしゃるんですか?
酒井:第1回、第2回養成講座を修了された方が全部で58名います。
おれい:男女比はどんな感じですか?
酒井:8:2ぐらいで女性が多いですかね。
おれい:年齢層は?
酒井:年齢層は30代、40代ぐらいの方が中心かな。
藤田:男性の方というのは、施設の関係や医療方面の方ですか?
酒井:初年度は写真愛好家の方を中心に養護学校の先生とか写真関係の企業の方とかいらっしゃいましたが、昨年度は緩和ケア病棟のお医者様も参加して下さってびっくりしました。活動の広がりを感じます。
おれい:ファシリテーターになって、それを職場で生かそうとされてる方ですよね。
酒井:そうですね。例えば養護教諭の先生は、保健室を居場所にしている子供たちにスクラップブッキングをやらせてあげたいとおっしゃっていました。また、ある写真関係の企業の方は、写真業界には「お前を打ち負かしたろうか」っていうような写真コンテストの風土が育っているけれども、僕は写真とはそういうものじゃないと思ってるんだ、とおっしゃっていました。そんなふうに考えているときに写真療法に出会って、芸術療法としての写真活動、とか、自由な自己表現で人をほめて育てるってとてもいいと思った、だからそれを企業に持って帰りたい、そんなふうに言っていらした方もいらっしゃいます。
おれい:いろんな背景、目的があってファシリテーターを目指しているんですね。
酒井:ほんとにいろんな方がいるんですよ。今ね、会員さんが100名くらいいらっしゃるんですけれども、その中でも、写真愛好家、写真家、スクラップブッキング愛好家、スクラップブッキングの先生の方もいるし、学校の先生、大学の研究者、アートセラピスト、看護師、保育士、社会福祉士、作業療法士など、様々な専門職の方もいらして、それぞれ人が元気になるツールとしての写真活動に興味を持っていますね。
おれい:なるほど、みなさん、通じるものがありますもんね。
酒井:なので、反対に難しいのね。写真とかスクラップブッキングというものの知識やとらえ方には、様々なレベルがあって、バリバリの写真愛好家からすると「え! 写真を切っちゃうの、写真を貼っちゃうの?」とか「本当に何でも自由に撮っていいの?」とか。スクラップブッキングの先生からすると、あまりにも自由すぎて、「これはスクラップブッキングなの?」って疑問を持つ人もいるみたいです。そんなふうに、いろんな方がいらっしゃるので、ベクトル合わせがとっても大変なんですよ。
<見守る、それがファシリテータの役割>
酒井:あと一つは、写真を通してその人の心の世界を分析、診断、評価をしたがる人がいたり、非常に恣意的に心の中のある一部分を見つめるテーマを与えてしまったり...。そういうやり方をしてしまうと、参加者の中には反対に傷ついたり、感情が爆発しちゃったりすることもあるんですよ。心の専門家ならばともかく、一般の人がそのようなことをするのは危険です。
おれい:なるほど。
酒井:なので、いろんな方が入ってきてくださるのは有難いんですが、ちゃんと内容を理解していただいくことが大切かと思います。あるとき、ファシリテータ養成講座を修了された方がご自分で講座を開いたんだけど、「えー、それは協会が提唱している写真療法とはずれているよね」みたいなこともあったので、最初のうちは、しっかりフォローしてゆかねば、と思っています。特に、うちの協会では臨床心理や精神医学など、心の専門家ばかりを対象にしてるわけではなく、誰にでも比較的安全にできるセルフヒールのやり方を主軸に据えているので、カウンセリングや心理学、芸術療法などの知識がない人がご自分でワークショップを実施されるときにはしっかり指導してあげなくては、と思っています。
おれい:確かに難しいですね。いろんな方が集まると、考え方もいろいろありますもんね。
藤田:酒井先生としては、さっき言われたような、作品を通した心の分析や評価、じゃなくて、あくまでも、自由な自己表現としてのカウンセリングやセラピーっていう方向を目指しているわけですよね。表現する言葉が難しいですね(笑)。
酒井:うーん。言葉ね、難しいですね。ファシリテーター養成講座では一般の方を対象に実践面での内容を非常にコンパクトにご紹介しているだけなので、カウンセラーとかセラピストっていう言葉は使わず、ファシリテーターという言葉にしてるんです。
藤田:そこでまた誤解が出ちゃうかもしれないですね。
酒井:そうなんですね。なによりも、カウンセラーやセラピストという言葉が与える印象の「人を癒してあげる」とか、「あなたを楽にしてあげる」、そういうコンセプトじゃないんですよ。参加される方の中にある、自分が元気になっていく力、自己成長、自己実現の力、心の自己治癒力は皆さん自身が持っているので、それがうまく発揮できるような機会を提供して、セルフヒールのプロセスが進んでゆくことを見守っていくという役割なんです。参加者に自由な自己表現、創作的な活動を楽しむ機会を与えてあげるだけで、人はどんどん元気になってくるんですよ。だからそれをつぶさないように見守る。一緒に創造的な時間を楽しんで、その人の心の世界に共感する。それがファシリテータなんです。
おれい:見守る、というのもとても難しいですね。
酒井:それって、子育てと同じようなところがあるのかなと思います。親がああだ、こうだと、あまり生き方を縛っちゃったり、これやっちゃだめ、あれやっちゃだめって、やることをうるさく干渉すると、子供の生きる力が発揮できないし、個性が伸びていかないですよね。
おれい:ああ、すごく耳が痛い(笑)。
<子育てと似ている>
藤田:よく言うのが、無意識のところでは「駄目」とかいう否定的な言葉は入らないそうですね。だから「走っちゃ駄目」じゃなくて「静かに歩こうね」って言わないといけない。禁止じゃなくて、ポジティブな言葉で教えてくことが肝心なんだと言いますよね。
おれい:ああ、私は全面的に子育てを見直さないといけないですね(笑)。今日も何回「だめ」と言ったことか。
酒井:そうですね、私のワークショップや講義に参加して、殿塚さんみたいに「もっと早くに知っておけばよかった」っていう方がいますよ。私からすると「そんなことないのよ、親子一緒にこれから歩んで行く、まだその途中なんだから」って思います。なので、今からでも遅くないから、もっと子供を見守って、子供の力を信じて、寄り添ってあげる、それがいいですよ。
おれい:今日から、やります(笑)。ほんとに。
酒井:まあ、ファシリテーターの役割って、子育てと似ているんですね。写真やスクラップブッキングで自由に自己表現を楽しんでもらう機会を提供して、そっと見守って、その人の個性や感性、キラッと光るところを、いっぱい言葉でほめてあげる。そうすると「あ、私、これでいいんだな」とまず安心しますね。そして何度かワークショップを続けてゆくうちに、どんどん自分をさらけ出すことができるようになって、今まで自分に見えなかった自分が見えるようになってくる。そこでファシリテーターが共感してあげると「これも私だけど、これでもいいんだ。私って結構いけるじゃない」みたいな自信や安心感が育まれてくるんです。
おれい:いい自分も、だめな自分もすべてさらけだして、それを他の人が認めてくれるというのは、なによりも力になりますね。生きる力になる気がする。でも、見守る、というのは本当に難しいですね!
酒井:そう、それが大変なんですよね。手を出したい、口を出したいのを、ぐっと我慢をしなくてはいけないから。
ちか:私は夏休み前に先生からそういう話を聞いてたので、子供の宿題になるべく口を出さないようにしていました。
酒井:やってみたの?
ちか:自分で落書きしているときは、とても面白い絵を描くのに、実際、宿題の絵になると、想像もしなかった下手な絵を描いたのでびっくりしちゃったんだけど、でも、これは口も手も出しちゃいけないなと思って、だまってました。手を止められたことが、すごくありがたかったですね。
藤田:すごい進歩ですね。
酒井:すばらしい。
おれい:ちかちゃん、それを私にも早く教えて欲しかったよ(笑)。
ちか:ごめんね(笑)。忘れてました。
おれい:ああ、今、反省しています。私は夏休みの娘の宿題を100パーセント、管理の中で描かせてしまったので。「もうちょっと大きいほうがいいんじゃない?」とか「そこはピンクじゃない?」とか。
酒井:言いたくなっちゃうのよね。でもそこはね、ぐっと我慢して、その子の個性を伸ばしてあげることが大事だと思います。「ここが駄目」じゃなくて、「ここがいいね」って言ってあげる。実際のワークショップでは、ときどき、なんてコメントしていいのか迷うような作品があって(笑)、「とても個性的ね」とか「何かとても神秘的な作品ね」くらいしか言えないときもあるんだけど(笑)それでも出来る限りその人の作品の中できらっと輝くところを褒めてあげるんです。そしてね、ファシリテーターをやってると、ファシリテーター自身も成長していくの。
おれい:なるほど!
酒井:通常の概念でネガティブと思いがちなことでも、どうやってポジティブに見て伝えようか、って考えるのは、すごく大変なんですよ。例えば性格を例にあげると、「あなたって優柔不断ね」だとネガティブな見方だけれど、「あなたって注意深くて慎重ね」だとかなりポジティブな見方ですよね。そうやって物事を別の角度から見れていくことで、人間関係の中で、今までだと「何、これ? ひどい」と一方的に腹もたっていたのが、「なるほど、こういう見方もできるか」みたいに、今までとは違った受け止め方や対処の仕方ができるようになるでしょ。
ちか:物事を幅広く見られるようになるんですね。
<ファシリテーターになりたい人へ>
おれい:そういうファシリテーターが今後も増えていくと思うんですけども、なりたいと思っている方、目指している方に何かアドバイスはありますか?
酒井:あまり難しく考えないで、まずはやってみましょう、と言いたいですね。講座に出て、話を聞いてもらうことで、さっきの子育てではないけれど、何か自分のヒントになったり、自分の生き方が楽になったりするかもしれないと思うんです。なにより、自分が興味があって、聞きたいと思ってるということには、自分にとって必要なことが入ってるのかもしれないから、興味があれば是非参加してみてください。
おれい:まずは難しいことは考えないで、参加ですね。
酒井:そう、自分にできる小さな一歩でいいと思うんですね。ファシリテーターの養成講座を出たからといって、すぐに自分でワークショップをやらなきゃいけないということはないですよ。でも講座を受けてみて「ぜひ、私も自分でやりたい!」っていう方には、プリンターやデジカメの無料貸与、実施にあたってのアドバイスなど、全面的に活動をバックアップしますので安心してください。また講座を一緒に受けた人たちとチームを組んでワークショップを始めた人もいます。一人では難しいことも、仲間と一緒だとやりやすいですね。そういうネットワーク作りにもぜひ利用してほしいと思います。
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みなさま、どうでしたか? 耳のほうは大丈夫ですか? まさか先生のお話を聞いて、自分の子育てを深く反省することになるとは思っていませんでした。そしてこの日から、私もがんばっていますよー。「信じて見守る」「ほめるところを探す」...。えー、なかなか苦しいものがありますが、前よりは...できているんじゃないかと思います。
ときどき、この記事を読み返して、気持を微調整していこうと思う私です。
さて! 次回のインタビューでは、ちかちゃんが泣きます。まあ、彼女はよく泣くんですが。
「トンボの写真と友達の写真」
「これからの写真療法」
3月上旬にアップ予定です。おたのしみに!