まだまだ寒い日が続きますね。みなさまお元気ですか? 寒いときは、体がついつい、縮こまってしまいますが、そういう時こそ、体を伸ばすといいそうです。筋肉が動いて、体が温まるそうですよ! みなさまどうぞお試しあれ。
さてさて、今回の酒井先生のインタビューですが、これを読むと、普段みなれたあの人がなんだかかっこよく見えてしまうこと間違いなしです。誰のことかは読んでみてのお楽しみ。
それではお楽しみください!
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<怖そうなおじさんがパステルの...>
おれい:その第1回のスクラップブッキングは、最初に子供たちに写真を撮ってもらって、そのあと写真を台紙に貼って...あとはどんなことを? スタンプやパンチも使いましたか?
酒井:そうですね。子どもたちの好きなように、作ってもらいました。高価なものは使わないで、ボランティアの方から飾りばさみやパンチをお借りして使ってもらいました。あと、台紙は、カラーペーパーを使い、本当に質素なものから入りましたね。
おれい:でも、それでも楽しいですよね。
酒井:楽しい、楽しい(笑)。写真が主役なので、簡単にパンチや飾りばさみ、リボンや100円ショップのシールとかで飾りつける程度でも素敵ですよね
おれい:スクラップブッキングは、男の子、女の子の差がないですよね。男の子もお花でもなんでも楽しんで使ってくれる。
酒井:ほんとそうです。で、高齢者とか、一般の働き盛りの男性も、いろんなところでイベントをやると、最初は「ちょっとね(笑)」なんて恥ずかしがるんだけど、やり始めると楽しいみたいで、没頭して童心に戻ってくれますよね。なんだか恐い感じのおじさんが、パステルのかわいい台紙を選んでいたりして(笑)。人って見かけでは分からないなと思いますよ。
おれい:意外な一面を見ることができたみたいで嬉しいですよね。
酒井:そうそう、その選んだものがその人の心の世界なんだと考えると、人間っていうのは、外見からは不確かなもので、奥が深くて面白いななんて思いますよ。
おれい:外見だけで判断しちゃだめですよね。
酒井:こんな怖そうで無口なおじさんの中に、こんなかわいらしい世界があったんだなって(笑)。心の中でちょっと思ったりしますね。楽しいですよね。
おれい:スクラップブッキングを取り入れた理由っていうのが、私が想像していたのと全然違ってたので、ちょっと驚きました。お子さんの反応で「採用!」になったんですね。素晴らしいですね。
酒井:ほんとにそうです。やってみたら子どもたちあまりにも夢中になってくれたので......。
ちか:最初の6カ月をこども病院でやったときには、クローバーリーフはまだ立ち上がってなかったんですか?
酒井:ちょうど立ち上がりと同時でしたね。2004年9月の設立で、2004年9月からもうスタートだったんですよ。
<写真で癒され、写真で新しい自分を発見する>
おれい:次の質問なんですが、写真療法の具体的な内容や対象にしている方についてお伺いしたいなと思います。
酒井:対象者の方について話す前に、写真療法ってどういうものなのかなっていうのを、伝えておいたほうがいいですね。
おれい:はい。お願いします。
酒井:写真のセラピーとしての力については、いろいろな考えをお持ちの方がいらっしゃると思うんですが、私が主軸にすえているのは、アートセラピーの考え方なんです。アートセラピーは、芸術療法、表現療法って言ったり、いろいろな呼び方があるんですけど、そのアートセラピーが主軸になっているんです。
おれい:アートセラピーの視点で写真セラピーを、ということなんですね。
酒井:そうですね。アートセラピーっていうのは、創作活動を通じて自由に自己表現してもらうことで、その人自身が癒されたり元気になっていったり、さらに新しい自分を発見したりすることができる...そんなセラピーです。なので、通常の写真教室や、スクラップブッキング教室とは大きく違うんですね。そういった教室はどちらかというと芸術性の高い作品作りというものを目指すものですよね。
おれい:そうですね。
酒井:通常の写真教室やスクラップブッキング教室は、技術の取得や向上っていうのが、一番主軸のところにきているんですけども、私が日本写真療法家協会で提唱している写真療法っていうのは、技術習得がメインじゃなくて、写真を通して、自由な自己表現をして、さらにその写真を使って創作的な時間を楽しんでもらいたいというのが主軸なんです。そしてその結果、その人がどんどん元気になっていっていく、というプロセスを目指しているんですね。なので、こども病院もそうなんですけど、参加者にこうしなくてはいけない、ああしなくてはいけないとか、そういうことは一切言わずに、とにかく自由に楽しんでもらう「場」を提供しています。
おれい:単純に技術を教えるよりも、そのほうが難しいような気がします。
酒井:写真療法家協会が昨年から養成を始めているファシリテーターの人たちは、写真やスクラップブッキングの楽しみ方を伝えて、さらに写真を通して自由で楽しい自己表現の時間を提供してあげる人、なんですね。
おれい:ファシリテーター、ですか?
酒井:そう、元々、英語で"facilitate"という言葉がありまして、それは何かを促すとか、促進するっていう意味なんです。なので、ファシリテーターは何かを教えてあげる"teacher"とか"professor"とかではないんです。
藤田:進行役ですよね。
酒井:そうです。技術を教えてあげるわけでもないし、何かあなたにしてあげるのよっていうアプローチの仕方ではなく、その方が元々持っている心の自己治癒力を活性化できるようなお手伝いしたり、そのような場の提供する進行役の人をファシリテータといいます。
おれい:ファシリテーターの方については、またあとで詳しく聞かせてください。すみません、中断しちゃって。で、そのファシリテーターが写真とスクラップブッキングの楽しみを伝え、自由で楽しい自己表現の場を提供していくわけですね。
酒井:そうです、そうです。そういう「安全・安心」な気持ちをこちらが持って、自由に何を表現してもいいんだよっていう場を提供してあげると、人は安心して、今まで自分で言葉にできなかったようなことも、素直に言葉にできるんですね。写真っていうのはすごいと思うんですけど、無意識な情動や抑え込んでいた強い気持ちが、ときどき写真に写り込むんです。それをもう一回、写真をプリントして見ることで、今まで気が付かなかった抑圧していた気持ちとか、気が付かなかった気持ちが、意識化っていうのかな...、分かってくるんです。で、さらに、スクラップブッキングはジャーナルとか、タイトルを書きますよね。その写真を見たときの気持ちを言葉にして書くことで、気持ちが楽になったり、元気になっていくんですよ。
おれい:なるほど。私はジャーナルはそのときの気持ちを記録する、という認識しかなかったけど、でも確かに書くことで、改めて自分の気持ちに気付くことってたくさんありますね。
酒井:そう、ジャーナルはとっても大事ですよね。それに、いろいろな写真療法の手法の一つとして、私はスクラップブッキングが一番効果的だなと思っていて、それはなぜかっていうと、まず自分が写真を撮ったり撮られたりしますよね。そして撮った写真を見てから、スクラップブッキングをするでしょ。スクラップブッキングというのは、写真療法の要素だけじゃなくて、カラーセラピーっていって色で自分を表現する色彩心理の要素も入っていますよね。
おれい:そうですね、確かに色の組み合わせを楽しんだりするのも、スクラップブッキングの大きな魅力のひとつですね。そっか、確かにカラーセラピーですね。
<癒しとしてのスクラップブッキング>
酒井:それから、スクラップブッキングはコラージュ療法っていわれている、心理療法にも似ているんですよ。コラージュ療法は、通常、雑誌の写真やイラストの切り抜きを使って、それをコラージュ(編集部注:組み合わせていく、貼り合わせていくこと)して、心の世界を表現する。スクラップブッキングはそんな療法にも通ずるものがありますよね。
おれい:普段はもちろん意識しないですけど、確かにスクラップブッキングはカラーセラピー、コラージュ療法の両方をしている感じなんですね。
酒井:そう。だから作っていると不思議な癒やしが起こってくるんでしょうね。スクラップブッキングするときは、自分の写真を使うので、自分の写真と雑誌の写真やイラストとの違いはありますけれども、やはりスクラップブッキングには、コラージュ療法としての要素があると思っているんですね。
おれい:レイアウトを作っていて、なんでこんなに癒されるんだろうと思っていましたけど、知らぬうちにそんな形で癒されていたんですね。素晴らしい(笑)。
酒井:あとは作業療法でもありますね。お年寄りの場合や、脳の障害、後遺症を持ってらっしゃる方には、ちょっと大変ですが、はさみとかパンチとかで切ったり貼ったり、指先を動かすので、作業療法の要素も持ってるかな。
おれい:リハビリというか。
酒井:そうそう、カメラってすごくいいリハビリになると思うのは、撮りたい一心で、こうレンズを構えるでしょ。
おれい:被写体にカメラを向けて、そこで構えたまま、がんばりますよね。
酒井:そうなんですよ。通常だったら、こんなポーズは絶対とらないだろうなっていうような姿勢でカメラをがんばって構える(笑)。それは理学療法的な要素も入っているんですよ。それに、写真を撮るっていうことは、脳を活性化するので、非常にいい脳トレーニングだっていうことも分かっているんです。さきほど話した病院の院内学級の先生が「酒井さん、子供たちがこんなにもハマるスクラップブッキングって、一体なんなんでしょうね?」って言われた答えっていうのが、そこらへんすべてが入っているのかな、と思いましたね。
おれい:今まで意識していませんでしたが、確かに入ってますね。改めて、スクラップブッキングの奥の深さにびっくりしています。すごい趣味ですね(笑)。
酒井:そうですよね。それに最近はスクラップブッキングの材料が手軽に素敵な物がいっぱい手に入るようになってきたので、手軽に素敵なアルバムができるというのが、これがまたすごいことだと私は思っているんです。ただプリントアウトした写真をペタペタ貼る、それでもいいんですけど、やっぱりいろいろな素材を触って、自分で選んでページを作っていって、簡単に見栄えのいいアルバムができるっていうのが素晴らしい。
おれい:スクラップブッキングはある意味、何でもありですからね。こうして先生から聞いている限りでは、趣味としてスクラップブッキングを楽しんでいる人たち向けの講習と、そんなに違いはなさそうに聞こえますが、やはり雰囲気は違うんでしょうね。
酒井:そうですね、ほとんど同じですが、違いといえば、写真療法の一手法としてのスクラップブッキングというのは、あくまでも自分の写真が中心なんですね。まずその写真をどうやって素敵に飾ろうかなっていうことが最初にあって、それから周りの飾り付けを選んでもらっています。だから、自由な自己表現ということを考えると、あらかじめ先生がキットを作っておいて、みんなで同じ作品を作るということはないですね。それから、写真がなくてもOK、というページやアルバム作りの講習もないですね。普通の趣味としてスクラップブッキングをしている方向けの講習とは、そこが大きな違いになってるかなって思います。
おれい:なるほど、なるほど。「写真療法」のイメージができてきました。
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今回はここまでです。写真療法の中で登場する「スクラップブッキング」が、いつも私が見ている「スクラップブッキング」と一味ちがって見えました。なんというか、普段見慣れた夫が、イキイキと会社で働いているのを見て、改めて惚れなおしちゃった、というかんじでしょうか。すごいなあ、スクラップブッキング! いつもどうしてこんなに作っていて楽しいのかなー、作り終わったあとに癒された気持ちになるのかなーと思っていたんですが、そういうことだったんですね。 やるじゃないの、スクラップブッキング!
次回は
「ファシリテータはこんな人」
「見守る、それがファシリテータ」
「子育てに似ている」
をお送りします! お楽しみに~。